成果を出す1on1ミーティングとは?進捗確認で終わらせない「3つの設計図」

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あなたの1on1、「今週どうだった?」で終わっていませんか?
いま多くの企業で導入されている1on1ミーティング。
「信頼関係の構築」や「部下の成長支援」を目的に掲げているものの、実際は――
「話すことがない」
「進捗報告だけで終わる」
「お互いにとって意味のない時間になっている」
という声も少なくありません。
なぜ形骸化してしまうのか?
それは、1on1の“本当の目的”と“設計図”を知らないまま、時間だけを設定しているからです。
私はコーチング講師として多くの組織を見てきましたが、成果を出す1on1には明確な特徴があります。
それは――
「上司のための時間」ではなく「部下のための時間」として設計されているということです。
ここでは、あなたの1on1を「進捗確認」から「部下の自律的成長を促す時間」へと変えるための、3つの設計図をご紹介します。
1on1の「本当の目的」を再定義する
進捗確認と1on1は何が違う?
| 要素 | 進捗確認(上司中心) | 1on1ミーティング(部下中心) |
|---|---|---|
| 目的 | タスク管理、問題の早期発見、指示出し | 内省促進、成長支援、エンゲージメント向上 |
| 主役 | 上司 | 部下 |
| 時間配分 | 上司が話す | 部下が話す・上司は傾聴 |
1on1の主役はあくまで部下です。
上司の役割は「答えを与える人」ではなく、部下が自ら答えを見つけられるように導く人(ファシリテーター)へと変化します。
研修の参加者の声を聞いていると、上司も部下も目的を理解していなかった、という声も聞こえます。
そして、それは上司だけでも、部下だけでもなく、双方が正しい目的を理解していることがポイントになります。
「進捗確認だけ」の罠
進捗確認に終始すると、部下は「報告すれば終わり」という意識に陥り、思考が止まります。
その結果、本音や悩みを話す心理的安全性が失われ、表面的な対話で終わってしまいます。
成果を出す組織は、1on1を「部下の内面と向き合う、最も重要な成長投資の時間」と位置づけています。
部下が主役となり、部下が話す=部下が自分で考える、ことが重要です。答えを急ぎすぎずじっくりと向き合う上司の姿勢が大切です。
1on1で成果を出す「3つの設計図」
設計図①:役割と時間配分の設計
理想的な時間配分は、
「進捗:内省のための対話 = 1:9」です。
- 進捗確認は1割以下に。
→ 日報やチャットなどのツールで事前に共有し、当日は「特に気になる点はある?」と軽く触れる程度に。 - 残りの時間は内省のための対話に集中。
→ 「キャリア」「モチベーション」「健康」など、仕事の枠を超えたテーマにも時間を使いましょう。
信頼関係の構築も進み、心理的安全性が高い時間となることで、1on1を有意義な時間として醸成していくことができます。
設計図②:傾聴の設計図 ― 「聞く」3つのレベル
| レベル | 内容 | 目的 |
|---|---|---|
| レベル1:事実を聞く | 業務内容・進捗状況を確認 | 表面的な情報を把握 |
| レベル2:感情を聞く | 「その時どう感じた?」と共感を示す | 承認と信頼の構築 |
| レベル3:可能性を聞く | 「あなたの強みをどう活かせる?」 | 自己理解と未来志向を促す |
特にレベル3では、部下の内なる価値観や本音に耳を傾ける姿勢が鍵となります。
設計図③:質問の設計図 ― 自律を引き出す問いかけ
進捗報告を「内省の時間」に変える質問の例をいくつかご紹介します。
| テーマ | よくある質問 | コーチング型質問 |
|---|---|---|
| 問題解決 | 「どう進める?」 | 「この課題の本質は何だと思う?」 |
| 行動計画 | 「次はどうする?」 | 「最良の解決策があるとしたら?」 |
| モチベーション | 「困っていることは?」 | 「今、一番情熱を注ぎたいことは?」 |
| キャリア | 「学びたいスキルは?」 | 「3年後、どんな状態でいたい?」 |
質問を変えるだけで、部下の思考は「上司に言われたから」から「自分で決めてやる」へと変わります。
この自律性こそ、成長を生むエンジンです。
ここにあげたものは一例です。言葉を変えればOKではなく、心から部下に関心を持つ姿勢で向き合うことが何より大切になります。
まとめ:1on1を「未来を創る時間」へ
1on1は、単なる業務報告の場ではありません。
それは、上司が部下の可能性と真剣に向き合う“未来投資の時間”です。
今日紹介した3つの設計図を意識することで、1on1の質は確実に変わります。
次回の1on1では、まずこの質問を試してみてください。
「この課題の本質は何だと思う?」
その一言が、部下の内省を深め、チームの未来を動かす第一歩になるはずです。
まとめポイント
- 1on1は「部下のための時間」として設計する
- 進捗確認は1割、内省のための対話が9割
- 「事実」よりも「感情・可能性」を聞く
- 自律を促す質問で、部下の主体性を引き出す
もし次のステップとして、コーチング型1on1を社内で浸透させたいと感じたら、研修設計やファシリテーション支援も承っています。
あなたの組織の1on1が「報告の場」から「成長の場」へ進化する、そのお手伝いをいたします。
発行者
下田まゆみ(公式プロフィールはこちら)
Entresh Coaching Office(アントレッシュコーチングオフィス)
経営者・事業主・管理職向けのビジネスコーチング
ICF(国際コーチング連盟)認定プロフェッショナルコーチ(PCC)
ICF Japan Code&CC アンバサダー
ICF PCCマーカーアセッサートレーニング修了
GCS認定プロフェッショナルコーチ
GCS認定講師(GCS八王子校講師)

