承認できない管理職の本当の問題は、“性格”ではなく“心理”にある

承認できない管理職が増えている理由

企業の人事担当者から、こんな相談をよくいただきます。

「承認が大事なのはわかっていても、管理職ができない」
「褒めるのが苦手と言われる」
「承認すると甘やかしている気がする、と抵抗がある」

実はこの“承認できない”問題は、今の組織で非常によく起きています。

そして重要なのは、
承認できないのは“性格”の問題ではなく、“心理的メカニズム”の問題であるということ。

Google検索でもよく使われる
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この3つのキーワードは、実は深くつながっています。

この記事では、管理職が承認できない理由を“心理”の観点から整理し、
研修や現場改善につながるヒントをお届けします。

承認できない管理職=性格の問題ではない

承認が苦手な管理職に対して、

  • 「もっと褒めましょう」
  • 「良いところに目を向けましょう」

と“精神論”だけで語られてしまうことがあります。

しかし、現場で多くの管理職と向き合ってきた経験から断言できるのは、
承認できない理由は、

✔ 努力不足でも
✔ 不真面目でも
✔ 性格の問題でもなく

心理構造がそうさせている ということです。

管理職が承認できない“3つの心理”

① 評価者モードのスイッチが切れない

管理職の仕事は

  • 改善点の指摘
  • リスク管理
  • 成果のチェック
  • 達成度の評価

など “評価者”としての役割 が中心です。

この状態が続くと、脳は常に“評価モード”になります。
その結果、承認しようとしても、

  • 「まだ改善点がある」
  • 「甘やかしになるのでは?」
  • 「もっとできるはず」

と無意識に抵抗が生じます。

真面目な管理職ほど責任感が強く、
承認が“緩み”に感じてしまう心理が働きます。

② 部下を“自分の基準”で比較してしまう

管理職になる人は、成果を出してきた人が多いです。
そのため無意識に、

  • 「自分の若手時代」
  • 「自分ができた基準」
  • 「これぐらい当たり前」

と比較してしまう“比較バイアス”が働きます。

このバイアスがあると、
本来承認すべき小さな行動も“当然”に見えてしまい、
褒め言葉が出なくなります。

これは意地悪でも冷たさでもなく、
脳の認知のクセ です。

③ 承認された経験が少ないと、出し方がわからない

実は、これが一番の要因と考えています。
日本の職場文化は長く

  • 承認より指摘
  • 褒めるより改善
  • 結果より反省

を重視してきました。
そのため管理職自身が

  • 承認されて育っていない
  • 承認のモデルを見たことがない
  • 承認=褒めるだと思っている
  • 言葉の引き出しがない

という土台で仕事をしています。

承認されていないし、やり方を知らないのだから、難しくて当然。

承認スキルを実践した管理職に見られる“変化の傾向”

これまで管理職の方々と
1on1や承認の実践練習を行う中で感じてきたのは、心理への理解 × 小さな実践の積み重ね によって、行動が自然に変わっていくということです。

特に多いのが次のような変化です。

  • 部下との会話が増える
  • 1on1が「確認の場」から「対話の場」に変わる
  • 部下の表情が柔らかくなり、意見が出やすくなる
  • 管理職自身が“見方の変化”を実感する

承認は単なるコミュニケーションスキルではなく、職場の空気そのものを変える力を持っています。

ある企業での変化

私が、管理職の方への研修で関わった企業様からの声をご紹介します。
1on1ミーティングの研修後、現場で使ってみたご感想を一部ご紹介します。

  • 相手(部下)と何時もより会話が弾んだ
  • 途中で話しを止めてしまわず、最後まで適度な相槌をうちながら話しを聞いた事でうまくいった。
  • 相手の意見に対し共感する姿勢を見せ会話にほぐれ感を感じた事が良かった。
  • 3つの承認スキルを意識的に使うことで話の幅が広がり色々なことを相手から引き出せた。


承認は「性格」ではなく「スキル」で上達する

承認は、「褒め上手な人が得意なスキル」ではありません。

管理職が承認できない理由が、心理構造にあると理解できれば、必要なのは 才能ではなく練習 だとわかります。

特に効果的なのは、

  • 評価モードから一度離れる練習
  • 比較バイアスを手放す意識づけ
  • 承認=事実の言語化 と理解する
  • 小さな承認から始める

このような 認知のチューニング です。承認は「あり方」を育てるスキルであり、誰でも習得できます。



まとめ

  • 承認できない管理職が増えている理由は“心理”
  • 評価者モードが切れない
  • 比較バイアスが働く
  • 承認経験が少なく、やり方がわからない
  • 承認は性格ではなく「スキル」で習得できる
  • 心理 × 事実の言語化のトレーニングで改善可能

おわりに

もしあなたの職場でも、

  • 管理職が承認を苦手としている
  • 1on1が形式的になっている
  • 部下育成のコミュニケーションを強化したい

と感じている場合は、どうぞお気軽にお問い合わせください。

承認が自然にできる管理職が増えると、職場全体に温度と対話が生まれます。

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発行者

下田まゆみ(公式プロフィールはこちら
Entresh Coaching Office(アントレッシュコーチングオフィス)
経営者・事業主・管理職向けのビジネスコーチング
ICF(国際コーチング連盟)認定プロフェッショナルコーチ(PCC)
ICF Japan Code&CC アンバサダー
ICF PCCマーカーアセッサートレーニング修了
GCS認定プロフェッショナルコーチ
GCS認定講師(GCS八王子校講師)

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