部下との1on1を有意義にするために〜信頼関係を育む3つの視点と実践ポイント〜

この記事でわかること

このブログでは、管理職として部下との1on1を「形式的な面談」から「信頼を深め、成長を支援する対話」に変えるためのポイントを解説します。
具体的に以下の内容が学べます。

  • 1on1が形骸化してしまう背景
  • 成果を生む1on1に共通する考え方
  • 明日から実践できる3つの行動
  • 現場の具体例と変化のプロセス

1on1を通じて部下の主体性とチームの一体感を高めたい方におすすめです。

課題の背景 〜なぜ1on1がうまく機能しないのか

多くの企業で1on1ミーティングが導入されるようになりました。「定期的に1対1で話す時間を確保するだけで、部下のモチベーションやエンゲージメントが高まる」と期待されてスタートするケースが多いでしょう。

実際に現場では次のような声がよく聞かれます。

  • 「毎回何を話すか決まらず、雑談で終わってしまう」
  • 「業務報告だけで終わり、気づきや学びがない」
  • 「部下が本音を話してくれない」

これらの背景には、目的の不明確さ心理的安全性の不足があります。「この時間は何のためにあるのか」「どんな話題が許されるのか」があいまいだと、部下は遠慮し、上司は一方的に話すだけの場になりがちです。

理論と根拠 〜1on1がもたらす効果

人材開発や組織心理学の観点から、1on1には以下の効果があるとされています。

1️⃣ 心理的安全性の醸成

部下が安心して悩みや挑戦を共有できる空気をつくることで、問題の早期発見や主体的な改善行動が生まれます。

2️⃣ 内省と成長支援

「問いかけ」を通じて部下が自分の行動や思考を振り返り、新しい行動を選択するサイクルが回ります。

3️⃣ 上司と部下の信頼関係強化

日頃の会話だけでは得られない「人としての理解」を深めることで、相互の信頼感が増します。
Googleの「プロジェクト・アリストテレス」では、成果の高いチームの共通点として「心理的安全性」が最も重要だと結論づけています。1on1はまさにその基盤を築く重要な手段です。

実践のステップ 〜信頼を育む3つの行動

ここからは、明日から試せる具体的なステップを紹介します。

「話を聴くこと」に徹する

上司としては「アドバイスしなければ」「正しい方向に導かなければ」という気持ちが強くなりがちです。

1on1ではまず聴くことが7割と心得ましょう。

部下が話すときは、途中で結論を急がず、相づちや確認の言葉を挟みながら、関心をもって耳を傾けます。「それはどんな経緯だった?」「そのときどんな気持ちだった?」と問いかけることで、部下は安心して言葉を継ぐことができます。

目的を共有する

1on1の冒頭で「今日はどんな話をしたい?」と確認するだけでなく、「この時間は何のためにあるのか」を明確にしましょう。

たとえば、

  • 「今日は先月の振り返りと次の目標を一緒に考えたい」
  • 「最近の仕事の様子や困っていることを教えてほしい」

と先にゴールを共有すると、部下も心構えができます。目的を曖昧にしたままだと「何を話すべきか分からない」「結局上司が評価するだけの時間では」と警戒されがちです。

小さな変化を認める

部下の成長を支援するには、小さな変化を見逃さず言葉にすることが大切です。

  • 「先週話していた課題に早速取り組んでくれてうれしい」
  • 「前回より声かけの頻度が増えたね」

と具体的にフィードバックしましょう。承認の言葉は信頼関係の土台をつくり、部下が次の一歩を踏み出す勇気になります。

具体例 〜1on1が変化を生んだ事例

あるメーカーの管理職の方は、最初は「1on1を月に一度やるだけで十分だろう」と考えていました。具体的には、部下の相談が表面的で、進捗確認だけで終わることが続いていたそうです。
そこで、目的を明確にし、「今日は業務だけじゃなく、今の気持ちも聞かせて」と伝えるようにしたところ、少しずつ本音が出るようになりました。ある若手社員は、「実は自分の考えを言うのが怖かった」と打ち明けました。上司が「そう感じていたんだね。教えてくれてありがとう」と受け止めたことで、少しずつ相談の量と質が変わっていきました。
半年後には、チーム内でお互いにフィードバックをし合う文化が生まれ、「安心して話せる雰囲気ができた」と感じるメンバーが増えました。

おわりに

1on1は単なる面談ではありません。それは部下とともに信頼と学びを積み重ねる大切な時間です。
「話を聴く」
「目的を共有する」
「小さな変化を認める」

この3つを意識するだけで、1on1の質は確実に変わります。最初はぎこちなくても構いません。一つ一つの対話を積み重ねることが、部下にとっても上司にとっても、かけがえのない成長の機会になります。今日からぜひ、あなたの1on1に「よきもの」を取り入れてみてください。その積み重ねが、チームの安心感と成果を育てる土台になります。

1on1ミーティングコーチング研修

1on1ミーティングの質を変えることで、チームは変わります。
部下との対話を、もっと意味のある時間に変えてみませんか?
実践的なコーチング研修、1on1ミーティングの研修をご希望の方は、お気軽にご相談ください。

1on1ミーティングコーチング研修のお問い合わせはこちらから

発行者

下田まゆみ(公式プロフィールはこちら
Entresh Coaching Office(アントレッシュコーチングオフィス)
経営者・事業主のエグゼクティブコーチ
管理職の自信を育てるコーチング
ICF(国際コーチング連盟)認定プロフェッショナルコーチ(PCC)
ICFレベル1・2アセッサー
ICFJ Code&CCアンバサダー
GCS認定プロフェッショナルコーチ
GCS認定講師(GCS八王子校講師)



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です