心理的安全性が高いチーム作りのための3つのポイント
心理的安全性の高いチームは、メンバーが心地よく意見やアイデアを出し合い、誤りや失敗を恐れずに自分自身を表現することができるチームです。メンバーは自由に考えや感じることができ、他者から尊重され、受け入れられる環境が提供されています。心理的安全性が高いチームでは、メンバー同士が信頼関係を築き、感情や意見をオープンに共有することができます。さらに、メンバーは間違いや失敗を恐れずに挑戦し、成長することができます。心理的安全性の高いチームは、開かれたコミュニケーションと協力を重視し、チーム全体のパフォーマンスと結果を向上させることができるでしょう。
この記事では、この心理的安全性のあるチームに求められるもの、心理的安全性のために必要なことをお伝えします。
Contents
この記事にはこのような方のお役に立てます
- 活発なチーム作りをしたい方
- メンバーのやる気を引き出したい方
- 離職が少ない職場作りを目指している方
- チームリーダーの方
- コーチングをチームビルディングに活かしたい方
など
自己確証動機
人には自分自身の持つ特定の自己概念や自己イメージを他人に認めてもらいたいという傾向があります。これを『自己確証動機』といいます。
自己確証動機が強い人は、自分が「どうあるべきか」という自己概念を持っており、他人からその自己概念に合致する反応を得ることで、自己確認や安心感を感じる傾向があります。「そうだよね」「あなたは正しい」と自分を肯定してる人と関わり、自分の味方、考え方を強め、自分を肯定的に捉えます。
ですから、しばしば、自分が持つ自己概念に合致する状況や人々と交流し、自己確認を追求します。
逆に、自分の自己概念と合致しない反応や評価を受けることに抵抗を感じることがあります。
自分のことを「私は人を笑顔にできる名人」と思っている人がいた場合、自分の言動に笑ってくれる人を好み、笑わない人はユーモアセンスがない人、として否定的な評価をします。
自己確証動機が強い人は、自分が持つイメージや信念に合致する反応やフィードバックを求めることが一般的です。
このように人は自分の考え、判断、言動などが『正しい』と思いたいものです。また、社会的にも適切と認められる【社会的妥当性】を求めます。自分の周りに「そうだよね」「正しいよ」と言ってくれる人がいることで【心理的安全性】も保たれます。
チーム作りのポイント
「他者から尊重され、受け入れられる」「間違いや失敗を恐れずに挑戦し、成長できる」このような心理的安全性が高いチーム作りには、人が持っている自己確証動機もポイントになることはお分かりいただけたかと思います。しかし、組織におけるチームの場合、必ずしも、自分と同じ考えの人ばかりが集まりません。そのようなチームは心理的安全性を保つことは困難なのでしょうか?
自己確証動機とは『他人に認めてもらいたい』という傾向、と前述しました。『認める』ということがポイントなわけです。『認める』を日常の業務の中で、また日頃のコミュニケーションで行っていくことで、【心理的安全性】のあるチーム作りができます。
『認める』とは?
認める、とは
デジタル大辞泉
目にとめる。存在を知覚する。気づく。
『見て止める』ことが『認める』なのです。相手そのもの・相手の行っていること・相手の出した成果、これらを評価せずに『見て止める』。跳ね返さず、また受け入れることもせず、相手をそのままに『受け止める』こと。これが『認める』なのです。
『認める』の具体的方法
受け止める
相手の言葉をジャッジを加えず「あなたはそうなんだね」と、ニュートラルにそのまま受け止めます。
具体的な会話事例を見てみましょう。
ななこさん、おはようございます。
今日の打ち合わせよろしくね。
木村課長、おはようございます。
はい、資料も準備できています。
よろしくお願いいたします。
あれ?ななこさん、髪の毛切ったの?
とってもよく似合っているよ!!
そうなんです・・・
短くなりすぎて気に入らないんです。
家族からも似合わない、と言われ、
落ち込んでいるんです。
え?!そうなの?!
(申し訳ない・・)
これはよくある会話です。仕事以外の会話もある、コミュニケーションが円滑に見える2人ですが、木村課長には全く悪気はありません。むしろ良かれと思い、ななこさんのことを褒めたのですが、逆効果になってしまいました。これが『褒める』ことの怖いところです。
では『認める』を行うコミュニケーションについても見てみましょう。
ななこさん、おはようございます。
今日の打ち合わせよろしくね。
木村課長、おはようございます。
はい、資料も準備できています。
よろしくお願いいたします。
あれ?ななこさん、髪の毛切ったの?
はい・・
実は短く切りすぎて気に入らないんです。
(そう感じているんだね・・)
このように、良し悪しのジャッジや自分の感想などを入れずに、「髪の毛を切った」という事実だけを伝える、ことが『認める』です。(今回の『認める』は存在承認、といいます。)このことで、ななこさんは「自分のことを見てくれている」という安心感を得ることができます。認めるの反対は「無視する」です。
リアクションをする
相手の言葉に適切に相槌や接続詞などで反応することです。リアクションをすることで相手は「聞いてくれている」と感じることができます。そのことで、やはり安心感を得ることができます。これは直接会話をするときに限らず、メールやチャットなどでのやり取りでも大切です。既読が付くからいいよね、ではないのです。「ありがとう」の一言でも、受け取った、ということを相手に伝えることで、相手を尊重することにつながります。ここでも会話事例で比べみましょう。
ななこさん、この資料なんだけど、作ったことある?
はい、あります。
いつ?
1年前です。
どれくらいかかったの?
1週間くらいです。
ありがとう!
この会話は木村課長にとって欲しい情報はしっかり得ることはできました。情報収集としては成り立っているかもしれませんが、コミュニケーションの会話、としては残念な会話です。ななこさんは詰問されているような気分になり、表情は暗くなっていきます。
では次に、リアクションを入れた場合を見てみましょう。
ななこさん、この資料なんだけど、作ったことある?
はい、あります。
あるんだね!いつ作ったの?
1年前です。
そっか、1年前なんだね。その時はどれくらいかかったの?
1週間くらいでした。
なるほど、1週間か。ありがとう。
内容もななこさんの答えも同じです。ですが、印象が違うことを感じていただけると思います。木村課長の吹き出しで下線を引いたところが、リアクションの部分です。このように、リアクションをすることで、しっかりとななこさんの言葉を受け止めている、という行動となり、ななこさんには木村課長がななこさんの言葉を受け取っていることが伝わります。
やっていることは一言、リアクションを入れただけです。それなのにこんなにも印象が違うことを感じていただけたかと思います。
リフレイン・おうむ返しをする
『認める』ことの具体的方法の3つ目は、相手の言葉をそのまま繰り返す、リフレイン・おうむ返しをする、ことです。人は自分と同じだな、似ているな、と感じることで、親近感・安心感を感じます。例えば、同じ出身地の人とは、初対面でも懐かしさを感じたり、この人は自分の味方だ、と感じたことがある人もいると思います。これを意図的に起こすことができるのが、リフレイン・おうむ返しなのです。
具体的に会話事例で見ていきます。
木村課長、今日は暑いですね。
ななこさん、ほんとだね。
気持ちが良い秋晴れだね。
こんなふうに暑いとメイクが崩れるので、
もっと涼しくなって欲しいです・・
・・・・・
木村課長は、「暑い」を「良い天気」と言い換えてしまったことで、ななこさんの考えとギャップがあり、会話が噛み合わなくなりました。ちょっとしたズレのように感じるかもしれませんが、これが日々の会話の中で起きていることで、『この人とは合わない』という認識が潜在意識の中でできてしまいます。これはまさに【自己確証動機】の逆です。ですから心理的安全性がない関係性となってしまうのです。
では、リフレインを使う会話を具体的に見ていきましょう。
木村課長、今日は暑いですね。
ななこさん、ほんとだね。
今日は暑いね。
本当に、イヤになっちゃいます。
暑いとメイクが崩れるので、早く涼しくなって欲しいです。
秋は味覚の秋でもありますし、栗が大好きな私は秋が待ち遠しいです。
木村課長は秋の食べ物で好きなものはありますか?
ななこさんは自分の言葉と同じ言葉使っている木村課長との会話を楽しんでいます。このように自分と同じ言葉を使ってくれる人に、人は安心感を感じます。もちろん、違う意見を持っている時に嘘をついて相手に同調する、ということとは違います。不用意な言い換えは信頼関係構築を阻害します。
まとめ
人は【自己確証動機】バイアスがある。
この自己確証動機が積み重なることで、安心感を感じる。組織の中では心理的安全性の高いチーム作りができる。
そのための取り入れたい3つのポイントは
・そのまま受け止める
・リアクションをとる
・リフレイン(おうむ返し)をする
発行者
下田まゆみ(公式プロフィールはこちら)
Entresh Coaching Office(アントレッシュコーチングオフィス)
経営者・事業主のエグゼクティブコーチ
管理職の自信を育てるコーチング
ICF(国際コーチング連盟)認定プロフェッショナルコーチ(PCC)
GCS認定プロフェッショナルコーチ
GCS認定講師(青山渋谷校講師)
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